前回のコラムでマナーについて書いた際、食事のことも簡単に触れましたが、今回は欧米での食事に対しての基本的な考え方の違いについて述べます。
日本の一般家庭では、夜帰宅するとごはん・味噌汁とおかず何品かの暖かい食事が食卓に並んでいることが標準とされています。それもおかずの献立をほぼ毎日変えて。欧米諸国の家庭ではこの食事スタイルは必ずしも「標準」でありません。夕食は割とシンプルであり、また毎日同じものを食べることにあまり抵抗がありません。その典型がドイツ語圏諸国で、彼らの伝統的な夕食はパン・ハム・チーズ中心の、熱を加えていない“Kalt Essen”(”冷たい食事“が直訳)で、たまにスープが付くくらい。美食の国、フランスでも決して毎晩手の込んだ料理を家で食べていません。スペインやイタリアなどの地中海諸国になると家庭の夕食の献立が多少豊かになりますが、日本のような「おかず2-3品」の凝り方とは異なります。アメリカは夕食のバラエティーはもっとシンプルでしょう。もっとも、近年冷凍食品などすぐ料理できる食品が多くなっているので、様相は変わりつつありますが。
ビジネスマンの昼食も同様です。都市部のオフィスワーカーであれば、サンドイッチ程度で済ます人が多く、エグゼクティブも例外ではありません。アメリカであればハンバーガーかもしれません。一方、日本の大企業の役員会後の食事がサンドイッチやハンバーガーでしたら、秘書部長はすぐクビでしょう。(もっとも、欧州企業の役員会後で出てくるサンドイッチはバゲットの切り口に具を入れたこちらのスタイルのものです。結構おいしいですが)
日本人はどうも食への執着が強いようですね。テレビのチャネルをひねってもタレントたちがいつも「うまい」とか言って何か食べていますし。
A lunch dish at a restaurant in downtown Aachen (Germany).
欧州チーム Y.T.